2022年 比較家族史学会 第70回 春季研究大会のご案内
【日程】 2022年6月18日(土)・19日(日)
【会場】 明治大学
【開催方法】 オンライン開催:Zoomによるオンライン形式(定員:300名)
【参加費・申し込み】 無料・要事前申込み(非会員も参加可)
・申し込み:専用申し込みフォーム(リンクしています)
また、以下のURLからも申し込めます。
https://forms.gle/YazeUMT7xuyXPdSG7
・参加申し込み締め切り:2022年6月12日(日)
【参加方法】申込者に大会前にZOOM 参加に必要なURL等及びレジュメ入手方法を連絡
【プログラム】
6月18日(土)
09:30~09:35 会長挨拶 小池誠(会長・桃山学院大学)
09:35~09:37 大会運営についてのお知らせ
09:37~10:56 自由報告 司会 松木洋人(大阪公立大学)
09:37~10:02 劉恒宇(京都大学文学研究科・院)
「越境する親子愛
―中国近代教科書体系の転換と親子をめぐる感情規範の変容―」
10:04~10:29 宍戸育世(大阪大学大学院国際公共政策研究科・院)
「寄与分制度における介護型の寄与の評価
―ドイツ法の議論を手掛かりに―」
10:31~10:56 本多真隆(明星大学人文学部)
「丸山眞男学派と家族研究―近代日本における公私領域と「家庭」」
10:56~11:00 休憩及び準備
11:00~12:45 比較家族史学会40周年 特別講演・写真展
11:00~12:00 特別講演 石川美絵子(社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)常務理事)
「ISSJの実践と国際家族」
12:05~12:45 オンライン写真展 白井千晶(静岡大学)
「『フォスター』にみる社会的養護をめぐる私たちの物語」
12:45~13:30 休憩
13:30~18:00 シンポジウム
テーマ 「<産みの親>と<育ての親>の比較家族史」
司会 床谷文雄(奈良大学) 宇野文重(尚絅大学)
13:30~13:50 趣旨説明 床谷文雄(奈良大学)
<第1セッション:妊娠と出産をめぐる比較家族史>
13:50~14:20 梅津綾子(南山大学)
「ナイジェリア北部の出生に基づく親子考
―「里親養育」慣行、リコを射程に入れて」
14:20~14:50 柴田賢一(常葉大学)
「初期近代イングランドの妊娠・出産と家族」
14:50~15:20 小谷眞男(お茶の水女子大学)
「『お上の正義が晴らすべきはまさしくこの闇なり』
—20世紀初頭ナポリの裁判事例を通して見るルオータの法社会史」
15:20~15:30 休憩
15:30~16:00 河合務(鳥取大学)
「20世紀初頭フランスにおける出産奨励運動と母子の衛生問題について」
16:00~16:30 大出春江(大妻女子大学)
「1920年代日本の赤ちゃん健康表彰事業と都市の家族」
16:30~16:50 指定討論者による討論:太田素子(和光大学名誉教授)
16:50~17:00 休憩
17:00~18:00 第1セッション討論
6月19日(日)
<第2セッション:<産み>から<育て>への比較家族史>
10:00~10:30 戸石七生(東京大学)
「近世日本の子育てと家・村・親族―共同体は子育てをしていたか―」
10:30~11:00 岡崎まゆみ(立正大学)
「明治・大正期における婚外子の法的地位と「育て」の環境
:「帝国日本」の家族政策をめぐって」
11:00~11:30 白井千晶(静岡大学)
「昭和期の助産婦による養子仲介:助産婦の語りから」
11:30~12:00 姜恩和(目白大学)
「韓国の危機的妊娠をした女性支援と養子縁組」
12:00~13:00 休憩
13:00~13:30 藤間公太(国立社会保障・人口問題研究所)
「『育て』の環境をめぐる政策の論理
――『新しい社会的養育ビジョン』を事例に」
13:30~14:00 梅澤彩(熊本大学)
「家族法における子の監護」
14;00~14:20 指定討論者による討論:トビアス・バウアー(熊本大学)
14:20~14:50 休憩
14:50~15:50 第2セッション討論
15:50~16:20 休憩
16:20~17:50 全体討論
18:00~18:30 総会(会員限定)
総会はシンポジウムと同じZoomアカウントで行います。
18:30~18:40 閉会挨拶 平井晶子(副会長・神戸大学)
【シンポジウムの趣旨】
床谷文雄(奈良大学)
「<産みの親>と<育ての親>の比較家族史」
2022年度春季大会シンポジウムは、昨年秋季大会でのミニシンポジウム「〈産みの親〉と〈育ての親〉の比較家族史①妊娠・出産と出自をめぐる日独比較」を踏まえて、人の出生から成長の過程における〈産みの親〉と〈育ての親〉の意味について考える。秋季大会では、予期しない妊娠・出産をした母親が匿名で他者に子を引き渡して養育を委ねる方法として、ドイツの「匿名出産」と「ベビークラッペ」、それらへの対処として立法化された「内密出産」制度、ドイツにヒントを得て熊本市の慈恵病院で実施されている「こうのとりのゆりかご」と「内密出産」の試みをとりあげて、妊娠・出産のあり方と、子が〈産みの親〉ないし自己の出自を知る権利について考えた。春季大会シンポジウムでは、〈産み〉の場面と〈育て〉の場面のそれぞれにおいて、親と子の関係の形成をめぐる様々な要素について考えるという課題を設定し、比較家族史の観点から時間軸、空間軸を拡げて、〈産みの親〉と〈育ての親〉についてより多角的に分析する。
母(その家族)が妊娠の継続あるいは出産した子の養育の引き受けを躊躇し、拒絶する理由として、性交渉自体に同意のない妊娠や性交渉には了解があっても避妊の失敗による妊娠、妊娠の意識・知識に乏しい未成熟な男女間での性交渉による妊娠など思いがけない妊娠の問題がある。夫でない男性の子を妊娠した場合も含め、婚外子の妊娠・出産は、産みの親から子が引き離される大きな原因となる。
母が子を手放すことを望むこともあれば、周りが強いることもある。助産師や医師が口利きをしたり、地域コミュニティ、母子支援者・支援団体などの善意の仲介者が関わったり、悪質な媒介者が関わることも考えられる。子を受入れる側も、親族(祖父母を含む)の場合、他人の場合、寺社・教会から社会施設まで多様であり、家庭への受け入れでも、養子とすることも実子とすること(藁の上からの養子)もある。集団的な受け入れとして、社会的養護の在り方にも議論は広がる。
シンポジウムの第1セッション「妊娠と出産をめぐる比較家族史」では、「妊娠」から「出産」に至る過程における諸問題を論ずる。婚姻外での妊娠や配偶者以外の男性の子を妊娠した場合の妊産婦及び子に対する倫理的な問題、社会的な処遇の問題を1つの焦点とする。アフリカ、西欧、日本から話題を採り、歴史軸としては、近世から近代、現代に及ぶ。第2セッション「〈産み〉から〈育て〉への比較家族史」では、子の〈育て〉をめぐる多様性を考える。特に、子育ての外部化・社会化に関する検討を行う。産みの親と育ての親が異なる場合の〈親〉の意義について、血縁上の親、育ての親、社会的親、里親、養親、社会的養護など、産みから育てへのプロセスの多様なあり方とそこにおける子の〈育ち〉と〈育て〉の意義を考える。地域的には、日本、朝鮮・韓国、台湾、時代的には近世、近現代と限定的ではあるが、子の〈育て〉の多様性について報告がなされる。以上を踏まえて総合討論を行う。
【大会運営委員長・委員】 中島満大(委員長・明治大学)、床谷文雄(奈良大学)、宇野文重(尚絅大学)、梅澤彩(熊本大学)、柴田賢一(常葉大学)、野辺陽子(日本女子大学)、李璟媛(岡山大学)