【テーマ】 家と共同性
【日 時】 2015年6月20日(土)~6月21日(日)
【会 場】 札幌大学 1号館4階1401教室
〒062-8520 札幌市豊平区西岡3条7丁目3-1
※札幌駅・大通駅・(豊水)すすきの駅近辺からのアクセス
(1)札幌市営地下鉄南北線「澄川駅」下車、中央バス西岡環状線(西岡3条先回り)、下西岡線(南71)、西岡線(南81)、澄川白石線(澄78)のいずれかで「札大南門」下車(バス乗車約6分)。
(2)札幌市営地下鉄南北線「南平岸駅」下車、中央バス下西岡線(南71)で「札大南門」下車(バス乗車約11分)
(バス停「札大南門」から札幌大学南門までは徒歩約3分で、少しわかりにくいです。)
(3)札幌市営地下鉄東豊線「月寒中央駅」下車、中央バス澄川白石線(澄78)、又は西岡月寒線(月82)で「札大正門前」下車(バス乗車約9分)。
(4)タクシーの場合:澄川駅~大学南門は約7分(約800円)、月寒中央駅~大学正門は約10分(約1000円)、札幌駅近辺~大学は約25分(約3000円)
※新千歳空港からバスでのアクセス
北都交通「アパホテル&リゾート<札幌>行き」で「札幌大学前」下車(乗車時間約60分、1030円、但し1時間に2本の運行です。)
中央バス・北都交通「札幌都心行き」で「地下鉄福住駅」又は「月寒中央通り10丁目」、「月寒中央駅」で下車後タクシー(乗車時間バス約60分、タクシー約10分)
【キャンパス内の順路】下記キャンパスマップをご参照ください。正門から入ってくる場合は、中央棟に入っていただき、案内に従ってください。南門から入ってくる場合は1号館入口の案内に従ってください(申しわけありませんが、1号館にはエレベーターはありません。)
【問い合わせ先】札幌大学 林 研三研究室 Email : kenzo-ha@sapporo-u.ac.jp
【参加費】会員1,000円、一般1,500円、学生は無料
【懇親会費】6500円(京王プラザホテル札幌 大学からホテルまでのバス代を含む)
【宿泊】宿泊先については、学会HPに日本旅行北海道(株)による本研究大会用のリンクを張りましたのでご利用ください。
【託児サービス】大学内ではご用意できませんが、付近の託児施設の情報は提供させていただきますので、お問い合わせください。
【出欠等】出欠、懇親会、弁当については、同封のハガキにて5月29日(金)までにお知らせください。
◆シンポジウム「家と共同性」プログラム
6月20日(土)
10:20~10:30 会長挨拶 森謙二(茨城キリスト教大学)
10:30~13:00 シンポジウム第1部「家社会の成立史」
司会 森本一彦(高野山大学)
挨拶 加藤彰彦(明治大学)
1. 戦国期畿内・近国の百姓と家
坂田 聡(中央大学)
2. 中世・近世の宮座と家
薗部寿樹(山形県立米沢女子短期大学)
3. 関東における家の成立過程と村
戸石七生(東京大学)
4. 近世後期における家の確立――東北農村と西南海村
平井晶子(神戸大学)
13:00~13:50 昼休憩
13:50~14:30 総 会
14:30~18:15 シンポジウム第2部「近現代における家社会の展開」
司会 牧田 勳(摂南大学)
5. 明治民法「家」制度の構造とその展開――2つの「家」モデルと生活共同体
宇野文重(尚絅大学)
6. 三井の財閥化と別家
多田哲久(小山工業高等専門学校)
7. 家・宮座・共同性――近代移行期における家墓の普及と座送り慣行
市川秀之(滋賀県立大学)
8. 下北村落における家の共同性――オヤグマキ・ユブシオヤ・モライッコを中心として
林 研三(札幌大学)
中間討論――シンポジウム企画趣旨の観点から
加藤彰彦(明治大学)
19:00~21:00 懇親会
6月21日(日)
9:30~12:30 シンポジウム第3部「国際比較の視点から」
司会 小池 誠(桃山学院大学)
9. 婚出女性がつなぐ「家」――台湾漢民族社会における均分相続と「生家」の役割から
植野弘子(東洋大学)
10. 「家(チプ)」からみた韓国の家族・親族・ムラ
仲川裕里(専修大学)
11. 近世インドの農村における農民と「家」――18-19世紀のインド西部・デカン高原に注目して
小川道大(東京大学)
12. スウェーデン農民層の農場継承と「家」――18-20世紀における「家族農場」の成立過程
佐藤睦朗(神奈川大学)
12:30~13:30 昼休憩
13:30~15:30 総合討論「家と共同性」
司会:森本一彦(高野山大学)・加藤彰彦(明治大学)
大会運営委員:林研三(札幌大学・委員長)加藤彰彦(シンポジウム担当・明治大学)
上机美穂(札幌大学)平井晶子(神戸大学)森本一彦(高野山大学)
◆シンポジウム趣旨説明
「家」は、本学会の研究大会において、中心的な主題としてしばしば取り上げられてきた。「シリーズ家族史」や「シリーズ比較家族」の一環として刊行されたものだけをみても、『家と女性』『家の名・族の名・人の名』『家と家父長制』『家と教育』『家・屋敷地と霊・呪術』『家の存続戦略と婚姻』などを挙げることができる。「家」をテーマにした会員による著作も数多い。それゆえ、今回ふたたび「家」を論じるにあたっては、そうするだけの積極的な理由が必要であろう。とくに、本企画は、新シリーズの第1巻として出版される予定なので、学術的な意義とともに、このことも踏まえる必要がある。
まず、これまで「家」はさまざまな角度から分析され、論じられてきたにもかかわらず、「家」の理解や定義は収斂されることなく、むしろ拡散してしまった。「家」の操作的定義――家名、家産、家業、永続性などの指標――については、ある程度共有されてきたものの、それを支える理論的定義の方は、未解決な課題のままである。とくに、「集団」「組織」「制度」「親族」「世帯」などの基礎概念に対する理解の甘さを問題点として指摘できる(相互に整合的な理論概念というよりも論理性の弱い感受概念として使われるのが一般的である)。「家」の定義をめぐる錯綜とした状況は、基礎的諸概念の理論的妥当性と整合性の欠如によって生み出されたといえるかもしれない。それゆえ、日本の家研究は、過去の論争をひとまず学説史上の問題として区別したうえで、今一度、各時代、各地方の実証的知見に立ち帰って、それらを総合しつつ、一から帰納的に理論構築していく必要があるだろう。
また、日本における庶民の「家」の成立時期についても、中世から近世後期まで幅が広い。これには、史料/資料の制約の問題が深く関わっているように思われる。「家」の研究者は、時代的、地理的、階層的に限定された史料/資料を利用し、それに没頭する傾向が強い。その結果、自らの直接の研究対象には詳細な知識を得ることができるが、他の時代、他の地域、他の階層については手薄にならざるを得ない。自らのフィールドに立脚して眺める全体像はどうしてもデフォルメされがちである。「家」に関わる諸現象を理解するためには、時間、空間、階層の3次元を方法論的に自覚する必要があるが、このような鳥瞰的な視野を獲得するのは必ずしも容易ではない。
とはいえ、そうした鳥瞰図を描くために必要な全国レベルの資料がないわけではない。たとえば、半世紀前に日本文化の地域類型研究会(東大文化人類学研究室)が行った全国レベルの村落サーベイ調査(いわゆる「日本文化の地域性調査」)のデータを用いて統計地図を描くと、明治民法施行前の「家」と村落構造に関する諸要素(約100変数)の全国的分布状況を知ることができる。こうした分布地図を基本枠組として用いれば、「家」と「家社会」成立の歴史を地理的および階層的な拡散過程として整理・総合することも不可能ではない。本シンポジウムでは、日本の「家」と「家社会」の歴史を中心軸に据えつつ、国際比較の視点をも組み込んで、その全体像の俯瞰を試みたい。